川崎市の同性パートナーシップを宣誓しました!
私たちは交際を始めて6年目の2022年に川崎市の制定する「川崎市パートナーシップ宣誓制度」を利用し、パートナーシップを宣誓しました。
川崎市パートナーシップ宣誓制度とは?
まず、最近よく聞く「パートナーシップ」という言葉、これって一体どういう意味なのでしょうか?
川崎市においてはパートナーシップとは、
「互いを人生のパートナーとして相互に協力し合いながら、継続的に日常の生活を共にし、又はすることを約した一方又は双方が典型とされない性的指向又は性自認を有する2人の関係をいう」ものとします。
※戸籍上、異性間の2人を含む。いわゆる「事実婚」は除く。
川崎市公式HPより
と定義されています。
難しく聞こえてしまうのですが、「法のもとで結婚ができないセクシャルマイノリティの二人」に対しパートナーシップを川崎市が認めることをパートナーシップ宣誓制度と呼びます。
よくパートナーシップを宣誓した話をすると結婚と同意と捉えられることが多いのですが、パートナーシップ制度には結婚と同等の法的効力はまったくないので、私たちのなかでは「おまもり」と呼んでます。
私たちがパートナーシップを宣誓した背景
私たちがパートナーシップを宣誓したのは、永遠の愛を誓いたいからでも、誰かに認められたいからでもありません。
私たちがパートナーシップを宣誓した理由は、主に二つありました。
いざというときに、大切な家族であることを証明するため
結婚できないことの何がデメリットなの?と思われる方もいるかもしれませんが、「家族として生活しているのに法的には家族と認められない」大変さは、人生において大変な時期にいちばんきつく降りかかってきます。
最近だと新型コロナウイルスの蔓延が私たちの日々の生活や健康を大きく脅かしていると思いますが、コロナがまだ拡大しはじめた初期のころ、ワクチンもまだなく、テレビでは重症患者や死者の数が毎日のように報道されていたあの頃、こんな記事を目にしました。
3月某日、大阪府在住のAさん(30代、男性)は、同居している同性パートナーが兵庫県内の勤務先で発熱し、県内の病院に緊急搬送された旨の連絡を本人から受けました。しかし、その後、容体が悪化し、パートナーとの連絡が取れなくなり、病院に連絡すると、「コロナ陽性の疑いがある」として、同県内の感染症専門病院へ移送されたとわかりました。そこでAさんは移送先の病院名を聞くと、「法律上の家族ではないので情報は開示できない」と突き放されたそうです。
「法律上の家族ではないから」とパートナーの入院先を教えてもらえなかった…コロナ禍で顕在化する同性カップルの不安
また、同時期に「結婚の自由をすべての人に」訴訟原告のお一人の訃報を伝えるニュースを見ました。このかたは、私たちセクシャルマイノリティの当事者の代表として、婚姻の平等を訴えていましたが、亡くなる直前まで平等に扱ってもらえなかったと言います。
「入院先で、よしさんが勇気を持ってパートナーであると告げたにもかかわらず、医師は『親族でなければダメだ』と目の前にいるよしさんへの病状の説明を拒否し、別室から佐藤さんの妹に電話をかけました」
同性婚裁判の原告が死去。パートナーは医師から病状説明を拒まれた
それまでの人生、幸いなことに自分の死やパートナーの死を意識して生活することはありませんでした。健康で若い今は、社会保障で守られていなくても日常生活において気になることはあまりなかったのですが、このような現実を見せられて、このままではいけないと少しでも自分たちを守る手段としてパートナーシップ制度を利用することにしました。
LGBTQ+コミュニティの可視化に繋がると考えたため
以前、たまたま、自分が住んでいる川崎市のパートナーシップについて気になり、川崎市のHPを見た時、当時のパートナーシップ宣誓件数が「75件」と記載されているのを目にしました。
そのとき私は自分が住んでいる川崎市で75組もの制度を利用しているセクシャルマイノリティのカップルがいることに対して嬉しい気持ちが湧いたのと同時に、異性のカップルとなんら変わらないのに法的に認められないカップルがいるという事実に悲しい気持ちになったのを覚えています。
2015年に渋谷区、世田谷区の自治体から徐々に始まったこのパートナーシップ制度は、現在259の自治体、人口普及率だと65%を超えてきています。
最終的には婚姻の平等が認められることがゴールですが、まずは1歩として私たちのような存在を可視化し、少しでも生きやすくするための努力を各自治体が進めていることに勇気づけられます。
私たち自身も婚姻の平等実現に向けてサポートできることのひとつとしてこの制度を利用し、少しでもLGBTQ+コミュニティの可視化につなげられたらなと思っています。
ちなみに、実際にこの記事を書いてるときHPを見に行ったら、89件まで件数が増えていました。ちょっとずつ増えているのがうれしいですね!
宣誓までの流れ ※川崎市の場合
私たちが宣誓した際の手続きの流れをご紹介します。
※最新情報は、川崎市のHPをご確認ください
電話で事前予約
電話で宣誓を希望する日の3ヶ月前から7日前まで市民文化局人権・男女共同参画室 に電話して予約をします。
人権室って・・・まあそうなんだけど笑
宣誓には下記の書類が必要でした。
- 「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」
- 配偶者のない者であることを証明する書類(「戸籍抄本」または「独身証明書」)
- 本人確認ができる書類
- 転入予定の場合には、その旨が確認できる書類(転出証明書など)
当日、川崎の指定された集合場所へ向かい、個室で
担当者の方に連れられて、(プライバシー保護のため)個室に入ります。
事前に用意した書類を渡し、担当者の方に見守られる中「パートナーシップ宣誓書」と「パートナーシップ宣誓に関する確認書兼同意書」に記入します。
約1時間後、「宣誓書受領証」等を交付され、終了
書類に不備がない場合には下記のものを受け取り、終了です。
- パートナーシップ宣誓書受領証
- パートナーシップ宣誓書受領証カード
- パートナーシップ宣誓書の写し
ちなみにパートナーシップ宣誓書受領書カードはこんな感じの、なんの変哲のもない1枚のカードです(笑)
最後に、私たち(ユウとケイ)からのお願い
ここまでパートナーシップを宣誓した話でしたが、やっぱりこれだけではだめなんだよな、と日々感じてます。
2023年頭に同性カップルに対する差別的発言で更迭された秘書官のニュースもありましたが、同性カップルも含めたLGBTQ+コミュニティーの人に対する社会保障があること、そして差別を受けることに対して明確にNOを示していくことが大事だと思います。
LGBTQ+コミュニティーに対する応援の仕方は色々あると思いますが、私たちが思いつくのことを以下に記載します。
現状について知る
婚姻の平等の実現に向けて活動しているグループを応援する
- 寄付や署名などに参加する
- ハンドソープやバスボムで知られるLUSHは2022年に「婚姻の平等の実現」をサポートするキャンペーンを実施しています。(『結婚の自由をすべての人に』キャンペーン)こういう取り組みをしているブランドで買ってみることも応援のひとつになります
投票に行く
婚姻の平等の実現に近づくために、政治が変わっていくことがとても大事になります。自分が住んでいる地域の議員が同性婚に対してどんな考えを持っているのか、ぜひ調べてみてください。
マリフォー国会メーターがわかりやすくまとめているので、一度覗いてみてください!
アライであることを表明する
そもそもアライとは?と思われているかもしれませんが、アライというのは下記のような人を指しています。
アライ(Ally)とは、LGBTQ +当事者たちに共感し、寄り添いたいと考え、支援する人のこと。(中略)「LGBTQ +フレンドリーな人」と類似した意味を持つが、「アライ」は「フレンドリー」よりさらに一歩進んで、より積極的に支援してくれる人、例えばLGBTQ +の社会的地位向上や権利擁護、平等の達成のための運動などに協働してくれる人を指す。
アライ(Ally)とは・意味
当事者でなくても、LGBTQ+コミュニティーをサポートすることは当事者本人にとって救いになるだけでなく、社会全体をよりよくするためにとても大事なことなのでぜひできるところからアライであることを表明してみてください。
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