マイクロアグレッション〜自覚なき差別を知る〜
この記事では、「マイクロアグレッション〜自覚なき差別を知る〜」ということを目的として、マイクロアグレッションの定義、具体例、影響、対処方法などについてお話ししたいと思います!
はじめに
皆さん、「マイクロアグレッション」という言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことがない方でも日本語訳である「自覚なき差別」という言葉を聞くと意味の想像がしやすいのではないでしょうか?
マイクロアグレッションはだれでもしてしまう可能性もあれば、受けてしまう可能性もあります。
この「マイクロアグレッション」という言葉が広がり、定義を理解することにより問題性の可視化につながるのではないかと考えています。
そのため、この記事ではまずは「マイクロアグレッションを知る」ということを目的としてお話ししたいと思います!
マイクロアグレッションとは
マイクロアグレッションの定義
こちらの日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別というの書籍の中では、マイクロアグレッションは以下のように定義されています。
ありふれた日常の中にある、ちょっとした言葉や行動や状況であり、 意図の有無にかかわらず、特定の人や集団を標的とし、人種、ジェンダー性的指向、宗教を軽視したり侮辱したりするような、敵意のある否定的な表現のことである
日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別
日本語では「無自覚の差別」や「小さな攻撃性」とよく訳されています。
人種、性別、性的指向、宗教、またはその他のアイデンティティ(特に社会的少数派に当てはまる属性)に対して行われる差別的言動、といえるわけです。
マイクロアグレッションを理解する上で特に大事な3つポイント
「差別的言動?そんなのはいけないに決まっている!」と思われる方は多いと思いますが、無自覚な差別というとイメージしにくいかもしれません。
ここで、マイクロアグレッションを理解するうえで特に大事なポイントを3つ紹介します。
これらを読んでいただくと、なぜマイクロアグレッションが問題視されにくいのかがわかるかと思います。
- 「曖昧かつ間接的」であること
マイクロアグレッションは微妙で間接的なことが多く、あからさまに敵対的または差別的ではない場合が多いです。 - (たいていの場合) 「無自覚」であること
マイクロアグレッションは無意識の偏見、思い込み、固定概念に根ざしていることが多く、自分の行動に意識的に気づいていないことが一般的です。 - 「”ちりつも”な影響がある」こと
マイクロアグレッションのひとつひとつは小さいように見えるかもしれませんが、それらが積み重なったときの影響は大きく、疎外感やストレスの一因となります。また、マイクロアグレッションはたいてい無意識的で曖昧であることから、受け手は「自分がマイクロアグレッションを受けたのか」「反応したほうが良いのか」など様々な判断をする必要があり心理的エネルギーを浪費してしまいます。
※詳しくは「マイクロアグレッションが与える影響」の部分でお話しします。
マイクロアグレッションの3つのタイプ
マイクロアグレッションは大きく3つのタイプに分けることできます。
それぞれ「攻撃」「無効化」「侮辱」にあたりますが、マイクロアサルト(攻撃)はたいていの場合、意図的であることから、ほかの二つと少し性質が異なります。
また、マイクロアサルトはたいていの場合、意図的、明示的であることから問題視されやすいですが、マイクロインバリデーションとマイクロインサルトはたいてい無意識で意図も曖昧なため問題視されにくい傾向があります。
行為者はもちろんのこと、受け手もマイクロアグレッションなのかどうかわからず、もやもやした気持ちを抱えるケースが多いのです。
マイクロアグレッションの具体的な例
それではマイクロアグレッションの具体例を見てみましょう
ポイントは、表の中の「メッセージ」の部分です。
意図していないことが多いものの、受け手が感じるメッセージということを意識してご確認ください。
「そんな意図ないし」「そんなこと思っていないし」これらがマイクロアグレッションの本質なのです。
※マイクロアサルトは、わかりやすい形であるケースが多いため、より分かりずらいマイクロインバリデーション、マイクロインサルトを具体例としてお示しします。
LGBTQ+へのマイクロアグレッションの例
他のマイノリティへのマイクロアグレッションの例
マイクロアグレッションが与える影響
マイクロアグレッションは、受け手に様々な影響を与えます。
この書籍(日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別)では、「感情、行動、認知、身体」の4つの観点で切り分けて、それぞれの影響について話しています
マイクロアグレッションはmicro(極微)という言葉入っていますが、影響を見てみると実は全くマイクロではないことがわかりますね
マイクロアグレッションへの対処方法ガイド
マイクロアグレッションは、一瞬の出来事であり、受けた瞬間に様々な思考が巡ります。
そのため、(特に受け手になった場合は)実際に遭遇した際に反応がすることが難しいです。
そのため、自分の中で行動しやすい対処方法をパターンとして持っておくことをお勧めします。
「指摘する」以外にも様々な対処方法があるので、ぜひ自分にとってやりやすいものを探してみてください。
また、「アクティブ・バイスタンダー(行動する傍観者)」という、ハラスメントや差別が起きている場面に居合わせたときに第三者として行動を起こす人という意味の言葉があります。
マイクロアグレッションに遭遇した時もアクティブ・バイスタンダーとして、自分だったらどういう反応ができそうか対象方法ガイドを参考に見て考えてみてください
指摘を受けたら
マイクロアグレッションは誰でもしてしまう可能性があります。
それは、たとえ同じマイノリティグループの異なる属性の人同士(例えば、ゲイ男性からトランスジェンダー男性へなど)であっても同様です。
また、指摘されない限りなかなか自分で気づくことは難しいのがマイクロアグレッションです。
もし行為者として指摘を受けた場合は、指摘をした人はリスクがある中でも勇気を出してあなたに伝えているということを忘れないようにしましょう。
もちろん気持ちがいいことではありませんが、自分の認識をアップデートできる貴重な機会であると私は考えています。
自分がもし指摘されたときに意識したいことは次の4つです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
- 「マイクロアグレッション」とは意図の有無にかかわらず発生する「無自覚の差別」であるということ
- 「マイクロアグレッション」を受けると「感情」への悪影響だけではなく「認知」「パフォーマンス」「身体」などへの影響もあるということ
- 「マイクロアグレッション」に遭遇した時には直接的に指摘するほかにも、「深掘り」や「話題を変える」など様々な対処方法があるということ
がお分かりいただけたかと思います。
誰でもしてしまう可能性があり、受けてしまう可能性があるマイクロアグレッション。
どのように対処できるのか、また指摘を受けたらどのように改善していけるのか皆さんの参考に少しでもなれば幸いです。
参考文献
今回、主に以下のリソースを参考に勉強し、記事を作成しました。
本記事ではほんの一部しかご紹介できていないので、興味のある方はぜひこちらの本を読んで感想を教えてください!
書籍
・ 日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション――人種、ジェンダー、性的指向:マイノリティに向けられる無意識の差別
Youtube
・ How microaggressions are like mosquito bites • Same Difference
Website
・ A GUIDE TO RESPONDING TO MICROAGGRESSIONS
・ You’ve Been Called Out for a Microaggression. What Do You Do?
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